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歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎 昼の部(2017)

好天に恵まれた今年のGWでした。

ちょっともう暑いよ、くらいなお天気の中、歌舞伎座へ出かけたら、

案の定冷えててひざ掛けを借りる季節になったなあ。。。と。

その明るく爽やかな季節、鯉のぼりの泳ぐ季節の團菊祭。

今年は七世尾上梅幸 二十三回忌・十七世市村羽左衛門 十七回忌の追善です。

私、昨年が母の二十三回忌、父の十七回忌でしたので、

お二人の、大間に飾られた写真を見て、流れた月日をしみじみ思いました。

そして今年は音羽屋坂東一家の襲名・初舞台、そして菊五郎外孫の真秀くん初お目見え。

去る者あり、来る者あり。

まずは新・坂東楽善、新・彦三郎、新・亀蔵の襲名披露狂言『梶原平三誉石切』。

それぞれ彦三郎、亀三郎、亀寿から新しい名前になりました。

十七世羽左衛門の長男一家です。

梶原平三に彦三郎、大庭三郎に楽善、俣野五郎に亀寿。

石切梶原は何度か見ているのですが、梶原役者がアラフォーの若さなのは初めてです。

新・彦三郎、シネマ歌舞伎『阿古屋』で岩永を勤めている人ですが、

玉三郎に「まだ若い彼」という風に紹介されていました。

その若い彼、新・彦三郎、颯爽と登場。

そして朗々と響く、聴き心地の良い声。

すごくよく響いているのだけど、口元を観ると、そんなに大きく口を開けて動かしているわけではないんですよね。

ふつうに喋っているようで、あんなに通る声を出せるって、どうなってるんだろう?

大庭・俣野の二人も同じように声が通り、声質も似ているので、

すごく聴きやすい芝居でありました。

梢の右近くん、とても可愛らしく、素敵な梢で、いつもなら気になるほどではないのに、

でも声がもう少し。。。と思ってしまったではないのさ^^;

彦三郎の梶原は、精一杯丁寧に、というよりは(もちろん精一杯やっていると思います)、

丁寧に抑え気味に、やりすぎないよういにやっていて、余力もありそうに見えました。

二つ胴の試し切りと、石の手水鉢を斬るところはパッと華やかで明るくて気持ちがよかったです。

罪人とはいえ呑助が斬られてるのに、気持ちがいいというのもなんですが^^;

刀を振り下ろしてからスッと手前に引くところが鮮やかでよかったのです。

手水鉢のほうは、真っ二つにした手水鉢の向こう側から梶原がポーンと前に飛び出してくる型で、

勢いよくポーンと飛び出せる若さ眩しい梶原でした。

なんかね〜 梢ちゃん(許嫁のある身)がついうっとり惚れ惚れついて行っちゃったみたいな終わり方(笑)

お父さんの六郎太夫がついてるから安心だけど^^;

六郎太夫は團蔵、奴に菊之助剣菱呑助に松緑

お酒大好きな松緑が呑助なので、酒尽くしはどうなるかな?と思っていたら、

酒尽くしのセリフの代わりに一家襲名のお祝いを述べるという趣向で、それもよかったです。

続いて海老蔵菊之助の『吉野山』。

昨年はこの二人は『男女道成寺』を踊って、そのときもあまりの綺麗さにうゎあああと思ったのですが、

今年もやっぱりうゎあああ でした。

今回の『吉野山』は竹本の伴奏だけで踊るもので、私は初めて観ました。

静御前は舞台中央の大木のうしろから山道を下ってきて、

舞台の下手側の背景では「吉野川」と同じように川がくるくる流れていました。

いつも以上に綺麗な舞台の上に、海老蔵菊之助ですから、ひたすら綺麗だなあ〜とウットリしている間に終わってしまった。

この二人も、もうアラフォーなんですね。

いやはや、いやはや。

逸見藤太は男女蔵。声がお父さんの左團次に似てきたなあと思う。

最期、ちょっとつらそうでしたので、やはりもう少し体絞ったほうがいいかも。

そして『魚屋宗五郎』。

宗五郎に菊五郎、おはまに時蔵、おとっつぁんの太平衛に團蔵、三吉に権十郎

お悔やみに来るお茶屋のおかみが萬次郎、おなぎが梅枝、

お城のほうは殿様が松緑、家老が左團次、典蔵が市蔵。

そして七世梅幸のひ孫、菊五郎の外孫、寺嶋真秀(まほろ)くんが初お目見えで酒屋の丁稚。

「これが菊五郎劇団だ!」みたいな芝居でございます。

これ見て「歌舞伎わかんない」「歌舞伎難しい」ってことはまずないと思う。

いい人揃いそうな魚屋一家に悲劇が起こるのですが、

ハラハラしつつ笑っちゃうし、でもしんみりするし、ホッとします。

人々の細かいやりとりの中の温かさ、

理不尽なことへのまっとうな怒り方、悲しみ方、

何かすごく知恵の詰まったお芝居のように思えるこの頃。

お城であった事件を勤める人たちもうすうす知ってて、

宗五郎夫婦がやってきたとき、そっと労わりを見せている。

世話物は舞台装置や衣装は地味なのですが、

その分、人情の美しさがキラキラするなあと思います。

颯爽とした石切梶原、華やかな吉野山、温かな魚屋宗五郎。

とても気持ちのいい狂言立てでした。