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読書メモ(音楽関係の本)

音楽関係の本を、3冊ほど続けて読んだ。以下、感想のメモ書き。

■ロマン派の音楽家たち 中川右介

ベートーヴェン(1770-1827)に多大な影響をうけ登場したロマン派の音楽家たちの交友録を、年代記的に著した本。

また、これらの人たちは、パガニーニ(1782-1840)に多大な影響をうけている事も、よくわかるように書かれていた。

作者は左派的な言動から政治的な物議をかもす人物。

しかし、こうした年代記的な本は今まで読んだことがなかったので興味深かったし、読みやすく面白い本だった。

主人公は、五人のベートーヴェン・チルドレン。

メンデルスゾーン(1809-47)、ショパン(1810-49)、シューマン(1810-56)、リスト(1811-86)、ワグナー(1813-83)。

主人公たち同士の交流や、ベルリーズ、ヴェルディロッシーニ、マイヤヴェーヤ、クララ・ヴィークをはじめとする同業者たち、それぞれの恋人たちにまつわるエピソードが、1年ごとに時系列で紹介されている。

また、1年の終わりに彼らの書いた曲が列挙されており、それらの作品を聴きながら読み進める楽しさがあった。しかし、この本では5人の主人公がそろっている1840年代までの事が主にとりあげられているので、メンデルスゾーンショパンの早熟ぶりが、より意識させられることになった。

ワグナーがメンデルスゾーンショパンの年代で死んでいたら、後世に名を残すような事もなかったのかもしれないし、後期ロマン派のありようも今日とは違ったものになっていたのだろう。

印象に残ったエピソードは・・・

クララ・ヴィーク、リストなどが、今日のリサイタルの原型をつくった事。

また、バッハをとりあげたメンデルスゾーンが、自作を含む新曲だけでなく、ベートーヴェンモーツァルトといった当時からいえば古い作品を、当時としては異例な事にステージでとりあげ、所謂クラシック音楽の礎をつくっていった事。

リストのギャラは、今日の貨幣価値になおすと1ステージ1500万円で、10年で1000ステージをこなした後ピアニストを引退した事。(つまり10年で150億円稼いで引退したわけか〜・・・しかしまあ、みんなよく稼いでるわ〜・・・芸術家はみんな貧乏なんてのは、日本人の大誤解?笑)

メンデルスゾーンとワグナーの確執の経緯。

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こうした時系列的な本・・・以下のメンツで書いてみても面白いかもしれないなあ。

・1900年前後に生まれた黒人ジャズメン

エリントン1899,サッチモ1901,ベイシー1904

1920年前後に生まれた黒人ジャズメン

モンク1917,ガレスピー1917,パーカー1920,デイヴィス1926,コルトレーン1926

・1940年前後に生まれてたロックミュージシャン

ビートルズビーチボーイズストーンズ、フー

蜜蜂と遠雷 恩田陸

この本、前から評判になっている事は知っていた。

日本で開催される架空の国際ピアノコンクール(浜松が元ネタ?)に登場する4人のコンテスタントと、審査員たちの群像劇。

本屋大賞受賞作は、読み物としてかなり面白いので、ぼくも何冊か読んでいるが・・・音楽小説は、ぼくにとってどうだろう?っとも思い読まずにいた。

しかし、直木賞に続いて本屋大賞受賞という事で店頭に平積みされていたので、手にとったところ、冒頭に彼らがコンクールで弾く曲目が書いてあり・・・それを見て買う事にした。

マサルと風間という若い男のコンテスタントが弾く曲目が興味深かったのだ。

マサルの3次予選は「このならびでカッコよく弾かれたら・・・ぼくも聴きに行きたいかも」っと思わされた。

また、ファイナルは、マサルがプロコフィエフ、風間がバルトークの、ともに3番のコンチェルト。不協和音たっぷりの20世紀の音楽。こういう曲を選曲する小説、面白そうじゃん!

個人的な事をいえば、最近になって、クラシック音楽好きを自称する高校時代までの同級生女子たちと話してみると、彼女たちは「上品で美しく切ない」曲にしか関心がないように思われ・・・っというか、切なくなりたくて音楽に接しているように思われて・・・そうした嗜好にちょいとウンザリさせられたことがある。それは、J-POPのヒットチャートにも共通する嗜好・・・「切なくなりたい病」(?)

ぼくは、そんなタイプの本ばかり読まされたらゲンナリするだろうし、そんな美術品ばかりの展覧会に行くとモヤモヤした気分になるタイプかも?

確かに、日本の学校で音楽教育をうければ、そうした、せつない病的な(?)嗜好になっちまうのだろうし「ロマン派の音楽家たち」に登場する前期ロマン派の音楽や、その流れを汲んだラフマニノフあたりまでの機能和声にのっとった「切ない」音楽が「普通のいい音楽」だと思い込むことにも、無理はないのかもしれない。(でも、その狭い嗜好では、切なくなれないバッハやベートーヴェンは理解不能、マイルスデイビスツェッペリンもレディへも理解不能・・・かも・・・(^^;)

でも、マサルや風間は、彼女たちが理解できそうもない、プロコフィエフバルトークをファイナルで弾いて!・・・直木賞本屋大賞のダブル受賞(笑)

冒頭の曲目リストを見て、日本の保守的・常識的・良識的クラシック音楽好き(?)に挑むような、恩田陸マーケティングセンスに、ちょいと期待したくなったのだ(笑)

とはいえ、二人のコンテストタントのプロフィールには、ちょいと無理があったかも。

天才少女・栄伝亜夜は、10代前半でピアノの天才少女としてデビューした事になっているが・・・ヴァイオリンならともかく、音響的な強度と体力が結びつきやすいピアノでは、10代前半の天才少女がCDデビューというのは非現実的?現実にもそうした事例は、ほぼないと思われる。

天才ホフマンからのギフト、風間塵・・・ピアノをもってない。コンクール前後にもろくに練習してない。それは、やっぱり現実的ではない。

だが、残りの二人は・・・もしかしたらいるかもっと思わされたり。

サラリーマンの高石明石・・・コンクールで弾く曲目が、とても日本人的選曲?高校時代の音楽好き同級生も納得できそう?

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール・・・あっ、こういうやつ、いるかも?カッコよくて、弾けて・・・大学時代にいたいた!

トーリーは、予選から、ファイナルまで、時系列に続いていくのだが、読み進める楽しさが存分に味わえた。

直木賞本屋大賞のダブル受賞も大いに納得!

文章による音楽表現も、大したものだ!(リストのロ短調ソナタのように賛成できない部分もあるけれど・・・(^^;)

おかげで、風間塵みたいなピアニスト・・・聴いてみたいなあ〜っと思わされた。

「劇薬」「憎悪し、拒絶するものもいる」「観客を熱狂に巻き込む」「コンクールで自作の編曲を演奏」そして、P.389の一文(引用しないけど)・・・・うーん、近代的なセンスでよみがえった若き日のホロヴィッツみたいなもんかなあ?

(そういえば、ぼくらが学生の頃、まさにマサルのような存在だと感じた清水和音さんが、ホロヴィッツの事をボロクソに言ってたなあ〜・・・笑・・・劇薬だもんね、ホロヴィッツ!嫌いな人は嫌いだろうし、江口くんのように、ホロヴィッツが弾いたピアノで弾きたくなるくらい好きな人もいる・・・ぼくは、ホロヴィッツがダイダイ大好きだけど・・・笑)

個人的には、作家の恩田陸と、映像作品の庵野秀明が、ぼくらの世代を代表して、後世に残る作品をつくっている人たちではないかと思ったり。二人とも凄いわ〜・・・

・・・っと、読了後、シン・ゴジラのブルーレイを観て・・・こちらも存分に楽しめた。

(シン・エヴァンゲリオン、早くみたいーーーー!)

騎士団長殺し 村上春樹

今回の主題音楽は、モーツァルトの超傑作オペラ、ドン・ジョバンニ

小説自体は、まーたまた同じような筋書きで〜・・・っと村上春樹のマンネリぶりにあきれつつも、あの凄いオペラの、あのとんでもないメロディーを思い浮かべる事ができたおかげか、最後までスルスルと読んでしまった。

主人公が、スプリングスティーンのリバーを聴いたシーンも印象的だった。

昔、青山で村上春樹さんがやっていたジャズ喫茶に行ったことがあるけれど、昔も今も、音楽を聴かせる凄いプロだよな〜・・・っとその面では、感心する事しきりだった。